2009-01-01から1年間の記事一覧

「プロ倫」とか、ウェーバーとか

マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」がトンデモ本だという話が新書で出て、一部で話題になっているとのこと(こことか。大元の学術書は02年に出ているらしい。そういえばちょっと見た気が)。まあ、僕は一応社会学をやって…

科学関係の予算について

もし、本当に効率の良いお金の使い方をしたいのなら、政府は欧米の学者の研究に巨額の補助を出すべきだと思う。 彼らは英語、フランス語、ドイツ語などの国際科学の公用語を自由に使いこなして研究発表ができるし、日本にはない世界トップレベルの教育機関で…

ナクバ法とか

イスラエルで、ナクバ法というものが可決・成立しかかっているらしい。ナクバとは、とか僕が書くより、このブログを引用したほうが早い。 「イスラエルの迷走ーナクバ法」Bananian Blue 先月、「ナクバ」を追悼する者を処罰するという法案がだされ、現在1回…

真犯人はどこにいるのか

足利事件、冤罪だった受刑者が釈放 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090604k0000e040084000c.htmlやりなおしDNA鑑定の結果が出た時点でこれは無罪でしょ、と思ったのでその点の驚きはない。びっくりしたのは釈放するかどうかは検察が決めるんだ、と…

そりゃ詐欺じぇねえか?水道水販売

うちは毎日新聞なのだけど、昨日の夕刊(大阪本社版)の2面に、ちょっと妙というか、何とも興味深い記事が載っていた(おそらくこのコラムはネットにはアップされていない)。「ボトル入り水道水の"秘密"」というタイトルで、書いているのは阪大教授の那須正夫…

リスクってこと

某所に書いたものなんですが、ちょっと焼き直して再掲。いろいろ誤解があるような気がするので。今回のインフルエンザとその対策について、かなりまずい認識が広がっているような気が僕はしている。それというのは「行政の対策は私が感染しないための支援で…

冷静にやったほうがいい

というわけで新型インフルエンザ。僕の顧客である大学もいくつか休校になり、とんだ連休である。もちろん、既存症を持っている人にはリスクがあるし、かなり低いとはいえ死亡に至る確率もあり、そうでなくても仕事や学業に支障があったり、熱が出て苦しかっ…

合理的なひどいこと

今朝テレビを見ていたら、エジプトで養豚業者が警官隊と衝突、というニュースをやっていた。かの地では、政府が新型インフルエンザ対策として、念の為に国内で飼育されている豚を全部殺処分するという決定をくだしていて、これに業者が抗議しているのだそう…

文系の社会科学者にとっての福音、なのかも

手元にあるデータを教科書にある数式に片っぱしからブチ込み、何らかの規則性を示す結果が出たらそれを解釈すればいい…、というのは文科系の素地を持つ社会科学の学生が一度は考え、そして挫折するアイデアではないかと思う。数学的素養が薄いにもかかわらず…

日韓の比較社会学って面白いかも

NHK-BSでやっていた地球特派員2009 <終>「非正規雇用50%の衝撃〜韓国・苦悩する格差大国〜」ビデオに録っていたのをようやく見る。番組の問題意識とはちょっと違うのだが、見ていて思ったのは日本と韓国がいかによく似ているかである。考えてみれば…

できるかぎり大阪府立大学は避けたい

今、NHK大阪のニュースで映像を確認しただけなのだが、大阪府の橋下知事が府立大の入学式に出席して、「府の金を出す価値があるかどうか、君達を厳しく監視させていただく」と学生に語ったらしい(検索したのだが、webにはソースがないみたいだ)。正直、こ…

イスラエルのアラブ系プロサッカークラブ

撮っていたビデオをようやく。イスラエルの一部リーグに所属するアラブ系のプロサッカークラブ「ブネイ・サフニン」の話。この番組だ。*1。イスラエルにプロリーグがあるのは知っていたけど、そこにアラブ人主体*2のクラブがあることにまず驚いた。それから…

知らないから勉強します、について

以下、単なる個人的偏見なので、「俺の意見は違う」という人にはあらかじめ謝っておく。すみません。というわけで好きなことを書くが、またしても表題のようなことを書いて、歴史修正主義について語っている人がいるらしい。で、それについてこの記事「“単に…

似てるな、というだけ

ちょっと興味をひかれて長谷川四郎の短編を読む。そして、この人は実に村上春樹だと思う。たとえば、連作短編「シベリヤ物語」の冒頭のくだり。 汽車で通過してしまう人にはちょっとわからないかもしれないけれど、徒歩か馬車か或いはトラックで、周囲の高原…

テロは克服できる

『ニューズウィーク日本語版』2009.3.11号の記事「忘れ去られた暴力の嵐」がなかなかいい(58-9ページ)。こう始まる。 ウォール街を南へ進んでいた一台の馬車がJPモルガン商会の正面で止まり、爆発したのは1920年9月のある朝のことだった。 イタリア人無政…

7. 個人の側につく

これで終り、とか言っておきながら、昨日はぜんぜん終らなかった。まあ、もうちょっと。ところで、まだエルサレム・ポストをチェックしている人はいるのだろうか?昨日の電子版の記事のひとつは、イスラエル空軍機がガザのエジプト国境近くにあるハマスの基…

6. 個人的であること

村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチは良かったと思う。僕は、今年(09年)の1月27日に記事を書いて以来「この作家の言うことを真剣に考えてみようよ」ということを主に言ってきたのだけど、スピーチをきっかけにそう思う人が増えたのではないかと思う。ただ…

速報、村上春樹スピーチ、オフィシャル版リリース

イスラエルの新聞、ハーレツ紙に村上春樹のエルサレム賞受賞演説の全文が出ました。Always on the side of egg :by haruki murakami署名入りですので、これがオリジナルという扱いになると思います。これで、どのソースで何が含まれる、というような問題は全…

村上春樹受賞演説のオリジナルがみつからない

とりあえず、熱。出すぎやろ。というわけで、昨日から寝込んでしまっていて、何も思うようにならない。なので速報だけ。受賞演説については、エルサレム・ポストの記事が一番詳しいとみなされているようで、ガーディアンの記事もそれに準拠している。全体と…

5. ナラティヴへの政治

1993年のオスロ協定で暫定自治が合意され、西岸とガザがパレスチナ人の手に戻されたことになった後も、基本的な状況に変化はなかった。96年の時点で、サイードはこう書いている。 オスロ合意後の西岸の地理は、頭がおかしくなるほどに複雑であるが、三つの地…

4.郷土の不足とナショナリズム・ワンダーランド

パレスチナが足りない 日本のメディアではパレスチナ問題と旧ユーゴ紛争は、ともに『民族問題』と『宗教問題』として語られることが多い。いや、この表現は正確ではない。『民族』『宗教』という言葉が口にされた瞬間から、日本人の多くは思考停止に陥ってし…

3. ハルキシステム再訪

もちろん、実際に村上春樹が何を考えているのかはわからない。また、僕が手に入れることができる資料やそれを読む能力にも限りがある(すごくある)。それを深く書き始めると大変なことになるので省略するが、ここに書かれているのは、僕が感じたことであり…

2. 良い歌だ。世界もまだ捨てたものではない

村上春樹と政治というとり合わせ。ずいぶん奇妙なものだと誰でも思う。けれど、僕にはその可能性があると思う。もちろん、それは集団の関係を直接操作するというようなタイプのものではない。正義を実現するものであるのかどうかすら疑わしい。だが、だから…

1. 村上春樹を理解してもガザの人々を救えるわけではない

システムということについて考えたい。たとえば、ガザ侵攻の問題に深くコミットしている人たちが、村上春樹の作品を全く読まないまま、エルサレム賞のボイコットを呼びかけたり、それに賛同しない人たちを批判するということがあるとしよう。そのように極端…

0. 村上春樹的な政治

島宇宙的だ。そう思う。そうなのだ、世界が水鳥の羽音で満たされ、大地は十六羽のウズラとその下で翼を広げる四羽のハイイロガンに支えられ、その全てが巨大な白鳥の背中に乗り、ってそれは鳥宇宙。島宇宙の話であった。ひとつの島のように完結した領域で人…

パレスチナとイスラエル

近所の公立図書館を荒らしてきた。その成果の一冊。 「パレスチナとイスラエル」、ダヴィッド マクドワル、奥田 暁子訳、三一書房 これはすごい。原著が出たのが1989年なので、オスロ合意とパレスチナ自治政府成立以降の重要な部分がフォローされていないの…

すみません、こちらに移動しました。http://d.hatena.ne.jp/le-matin/20090203/p2

パレスチナ側から見る

前の記事の一部にしようかと思っていたのだけど、こっちに。パレスチナについてのスタディーをしている、というようなことを数日前に書いたのだけど、もちろん、通りいっぺんのことは知っているつもりだった。で、今回はそれを越えるようなものを探していた…

ギヴ・ピース・ア・チャンス

冷静になるように努めている。というか、冷静でない状態になる理由はない。自分が攻撃されたわけではないし、友人や知人がそうなったわけでもない。ただ、悲しみのようなものがある。 自分の信念を披瀝しただけなのに、高圧的な押し付けをしているとか、自己…

たぶん、僕は「運動」に向いていない

さっきの記事を書いてからもいろいろとググっていて、ハアレツの記事をあと2本発見した。 Gaza op may be squeezing Hamas, but it's destroying Israel's soul 09.1.27 Someone must stop Israel's rampant madness in Gaza 09.1.26 どちらも別々の記者によ…