読書メモ

『秀吉の対外戦争』

井上泰至、金時徳『秀吉の対外戦争:変容する語りとイメージ: 前近代日朝の言説空間』の感想。この本は江戸時代初期からの「朝鮮出兵」を扱った日本の書籍についての論文集だ。まず、上記のようなものがかなりたくさん出版されていたという事実に驚く。もう…

日本と韓国のナショナリティ(とローカリティ)

金明美『サッカーからみる日韓のナショナリティとローカリティ』読了。清水市と西帰浦市(済州)で、(少年)サッカーをめぐる様々な実践をフィールドワークしたもの。日本と韓国のナショナリズムの成立ちの違いについての結論が興味深い。大胆かつ大幅に要…

似てるな、というだけ

ちょっと興味をひかれて長谷川四郎の短編を読む。そして、この人は実に村上春樹だと思う。たとえば、連作短編「シベリヤ物語」の冒頭のくだり。 汽車で通過してしまう人にはちょっとわからないかもしれないけれど、徒歩か馬車か或いはトラックで、周囲の高原…

テロは克服できる

『ニューズウィーク日本語版』2009.3.11号の記事「忘れ去られた暴力の嵐」がなかなかいい(58-9ページ)。こう始まる。 ウォール街を南へ進んでいた一台の馬車がJPモルガン商会の正面で止まり、爆発したのは1920年9月のある朝のことだった。 イタリア人無政…

パレスチナとイスラエル

近所の公立図書館を荒らしてきた。その成果の一冊。 「パレスチナとイスラエル」、ダヴィッド マクドワル、奥田 暁子訳、三一書房 これはすごい。原著が出たのが1989年なので、オスロ合意とパレスチナ自治政府成立以降の重要な部分がフォローされていないの…

「ガザ」についてのエッセイ

リンクを辿っていて、ちょっと興味深いエッセイを見付けた。原文は09年1月7日にロスアンジェルス・タイムズに掲載された英文なので、ほとんどの人には読めると思うのだけど、時間がかかる…ということで忌避する人がいるかもしれない。版権の問題などがあるの…

28年ぶりの再会

やっぱりすごいなあ、と思う。 この本を何度も何度も激しく読んでいた10-12歳のときに感じていた気持を、また思い出すことができる。手に取るようにできる。そして、いくつかのシーンや登場人物の台詞は、まだ鮮明に覚えている。ローズマリ・サトクリフは、…

本当にメモ

図書館で借りた本。そのうち買う。葬祭の日本史 講談社現代新書作者: 高橋繁行出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/06/21メディア: 新書購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (16件) を見るお葬式の話よりも、念仏講の話が面白い。火葬場と差別問…

かなり完璧な一冊

くらやみの速さはどれくらい (ハヤカワ文庫 SF ム 3-4)作者: エリザベス・ムーン,小尾芙佐出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (59件) を見るこれはすごい。鋭く、深く、細かく、暖かく…

ささやかだけど、面白い本

帝王(リーガル)の陰謀 上 (創元推理文庫) 帝王(リーガル)の陰謀 下 (創元推理文庫) おそらく、この本のタイトルと表紙を見たあなたはこう言うだろう。「また凡百のファンタジーではないか」「なんだか中世ヨーロッパ風の舞台と、超能力を組み合わせたストー…

ドラキュラ崩御

ドラキュラ崩御 (創元推理文庫) 三部作完結。正直面白い。ドラキュラ、ボウルガードともに大団円。ただ、この面白さの半分くらいは訳者さんの功績なのかな、と思う。少なくとも、僕が好感を抱いている理由については「半分くらい」というのはまったくそうだ…

あ、そう思う!

「私見によれば現代の三十代はまだ青年で、四十代は大人前期だ。人がましくなるのは五十代からだろう。これは老来、私の懐抱するに至った感慨だ」田辺聖子「テレビと小説」楽老抄 ゆめのしずく (集英社文庫)

久々に電車乗り過ごした

騎士(シヴァルリ)の息子 上 (創元推理文庫) やべえ、面白い。訳文が最高。いい仕事がしてある。

ちょっと再読

さらば、ベルリン〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) さらば、ベルリン〈下〉 (ハヤカワ文庫NV) 半年振りに再読。最初読んだ時には後半の謎解きがうっとおしいなと思ったのだが、再読してもやっぱりそう思った。スパイにされたスパイ (文春文庫)のほうが良い出来。とは…

サッカー本

実況席のサッカー論 サッカー実況界の二大スター、山本浩さんと倉敷保雄さんの対談。面白い。倉敷さんの腰の低さが目立つ。でも、一番印象に残ったのは下記の部分。たとえ話なんだけど、そういうことってあるんだあ、と思った。 山本…監督に「何であの選手を…

『無頼列車 南へ』ほか

無頼列車 南へ (文春文庫) 1916年のアメリカでの史実に基づいた小説。騎兵隊の荒くれ者と、蒸気機関車と青年が出てくる。個人的にはレイルロードタイクーンとかやってるので、列車運行の話が興味深かった。 旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 …

列島創世記(一)

旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 日本の歴史 1) まだ途中…なんだけど、すごい良い。先史日本史としては画期的、というか明らかに世界水準に達している。読んでも退屈しない。荒唐無稽ではないストーリーでしっかりつないであって、しかも分か…

『銃・病原菌・鉄』ほか

昨日読んだ本。 銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎 アウタルパ捕わる、のところと、家畜と栽培食物のところが面白い。できとしてはマーヴィン・ハリスの方が上。 銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎 インドネシアの話が…