イスラエルのアラブ系プロサッカークラブ
撮っていたビデオをようやく。イスラエルの一部リーグに所属するアラブ系のプロサッカークラブ「ブネイ・サフニン」の話。この番組だ。*1。
イスラエルにプロリーグがあるのは知っていたけど、そこにアラブ人主体*2のクラブがあることにまず驚いた。それから、もちろん、それがしっかりしたプロクラブであることにも。アラブ人の都市、サフニンをホームタウンとしていて、小さいながらしっかりしたスタジアムも持っている(どうやら、オーナーが元サフニン市長の実業家らしい。このあたりは、『アブリッシュ家の人々』とかをちょっと連想した)。
そしてもちろん、サッカーに夢をかける人々、若者たちがいる。しっかりと出てはこなかったけれど、ブネイ・サフニンの存在は大きいのだろうな、と思う。ざっと検索してみてわかったのだけど、実はこのクラブはインタートトカップ*3に出場したりしている強豪なのだ。
あと、これも確信は持てないのだけど、監督が喋ったり、ホワイドボードに書いたりしている言葉はヘブライ語に見えた。取材を受けている選手がアラブ系とイスラエル系の共存を訴えたりしていて、このへんも色々な政治的立場があるのがうかがえるところ。ちなみに、選手のお父さんはユダヤ人の経営するレストランで働く人であった。
そしてもちろん、アウェイゲームでは、強烈なブーイングにあう。ブネイ・サフニン以外のクラブは全部ユダヤ系らしく、たぶんサポーターもそうなのだ。強烈な人種差別的なヤジ、ブーイングが飛される。まあ、このあたりは「サッカー的」な部分と素の差別が複雑に入り混る部分なので、どこまでがどうというのは一概には言えないのだけど、ぎりぎりアウトくらいのレベルに見えた。
ともかく、そこにもサッカーがあり、あらゆる国のサッカーと同じく、その社会に存在するあらゆる問題を含み込みつつ、それでもきちんとサッカーとして、スポーツとして成立していた。そのことの偉大さというか、イスラエルのアラブ系住民とも僕たちは同じ地面に立っているのだなあ、と改めて思う。
ところで、インタートトカップ、ということはイスラエルはUEFAに加入している(当たり前だ)。僕の記憶では、UEFAは人種差別反対のキャンペーンを張っているはずだが、このケースは該当しないのだろうか。「アラブ人はゴミだ」という巨大フラッグが出ている映像があったのだが。