そりゃ詐欺じぇねえか?水道水販売

うちは毎日新聞なのだけど、昨日の夕刊(大阪本社版)の2面に、ちょっと妙というか、何とも興味深い記事が載っていた(おそらくこのコラムはネットにはアップされていない)。「ボトル入り水道水の"秘密"」というタイトルで、書いているのは阪大教授の那須正夫さんという人だ。

かいつまんでいうと、いくつかの自治体の水道局が水道水の品質向上をアピールするために販売している瓶詰めの水道水を分析してみた、というものなのだけど、よく読むとかなり微妙なことが指摘されているように見える。全文引用ははばかられるので、一部を引用する。ポイントはこんな感じだ。

(ペットボトル入りの水道水は)家庭に給水されている水道水と比較すると、塩素濃度が極端に低く、水道水の水質管理に使われる程度の装置では、検出限界以下。

ボトル入りの水道水には、生きた細菌がほとんどいないこと。最新の方法で調べると、水道水はもちろんのこと、おいしい湧き水にも私たちに害のない細菌が、ある程度は含まれています。ボトル詰めは外注することが多く、ボトリング工場で、水道水をさらに処理しているのかもしれません。

那須さんは抑えた筆致で書いているけれども、ここで指摘されているのはペットボトル入りの水道水は基本的に水道水ではないということだ。塩素の添付量が違うし、再処理もしている。

それを水道水だと言って売るというのは、何かおかしくないか。那須さんは微妙に批判しつつ、でも大人の事情もわかるという感じに書いておられるのだけど、僕は積極的におかしいと思う。

僕にとって、水道水というのは、蛇口をひねると出てくる、あの水のことだ。家では浄水器を通した水を飲んでいるのだけど、それを水道水だと感じたことはない。時々飲食店ですごくまずい水が出てくることがあると「ああ、これは水道水なんだろうな」と思う。というか、その一方で「最近は水道の水がすごくおいしくなって、ペットボトルで売ることもできるほどなんだ」という話を聞かされてもいて、おかしいなあ、味覚の錯覚かなあ、プラシーボ効果って恐ろしいなあとか思っていたのだ。が、こういう次第なら話はわかる。あれは水道水ではないのだ。

水道に入れる前の原水とか、水道に入れる準備をしてから工場に送って再加工した水とかを、水道水と呼ぶのはおかしいと思う。水道の水がおいしくなりました、というのなら、それは家で蛇口を捻って出てくる水をそのまま飲んでもおいしい、という意味であるべきだ。加工すればおいしいというのなら、方法はいくらでもある。それならカルピスだって水道水ではないか。

まあ、そこまで固いことを言うつもりはないけれども、こういうゴマカシが回り回って、また水質が落ちるとか、安全基準に違反するとかいうことにつながるのではないかと思う。くだらないことはやめるべきではないか。