政治的に危険な話

維新は大阪をよくしなかった

5月17日の朝、「今アピールしなくていつするんだ」と思って書いた、維新市政批判の連続ツイート、こっちにもまとめときます。 ====== ====== 「このままの大阪市でいいんですか?」という言い方を、維新・都構想支持の人から良く聞く。では、…

戦時性暴力としての「慰安婦」問題について

某所に書いたメモを再掲。 問題の構図 1. サバイバーへの攻撃の構造 ネット右翼や行動保守などの人のこの問題へのアプローチにはいくつかの共通点があって、その一つが、「慰安所」の実態を証言するサバイバーの方々や、その支援者の方々を攻撃するというも…

日本のナショナリズムとか将来とか

偉そうなことを言うのは好きではないし、伝統だの社会のあり方だのを訳知り顔で語るのも嫌いだ。そこまでの実力も地位もない。けれど、一方で「日本の伝統」とか「日本人の感覚」とかをしたり顔で持ち出し、差別や排除を正当化しようとする人たちもいる。そ…

戦死者の慰霊について考えたこと

ツイッターに書いたことに少し加筆してまとめ。フェイスブックとは重複御免。 僕は、この件に関して、塚本学さんという歴史研究者が「「戦没者追悼平和祈念館」と地方史」という論文(エッセイ)http://ci.nii.ac.jp/naid/40002374704 …にまとめられた見解に…

正義ではないかもしれないけど

21世紀の世界では、善意と攻撃、協調と対立、戦争と平和、自由と束縛、連帯と分断の区別があいまいになり、時に一体化している。そこでは平和のために戦争が必要になり、人道のために殺し、協調のために敵を作り、自由を守るために人を拘束し、それが市民の…

「慰安婦」には軍が関与していた

永井和『日本軍の慰安所政策について』という論文がネット公開されているのを知った。 この論文、かなり興味深い。メインのテーマは「慰安婦」の募集についての規制を含む1938年3月4日付の陸軍省副官通牒*1の解釈で、結論としては、「慰安婦の募集と渡航を合…

日本は普通じゃない方がいいのじゃないか

まえおき たとえば「在日コリアンが持っている『特別永住者』という在留資格はおかしい。日本国籍を取得させるべきだ」という考えがある。また「日本国は様々な民族からなる国家になるべきだ。日の丸はその国家の象徴になるべきだ」という考えもあるように思…

排外主義への対抗について

3月31日に、鶴橋での排外主義デモのカウンターに行った。もちろん、僕は大したことはなにもしていない。こういう行動では人数が多いことが大切だと思うのでその一翼を担ったという気持ちはあるけど、別に人を誘っていったわけでも、宣伝をしたわけでもな…

リアル天皇制

今話題のバンクーバーオリンピックの男子スノーボード代表、国母選手について考えていたら(もちろん、彼が服装について激しく批判されている件のことだ)、あるブログ記事へのコメントで、「たとえば天皇陛下の前にあの格好で出るのをあなたは許せるんです…

歌ってやれよ、君が代くらい

正月休みに、村上龍の『半島を出よ』と森巣博の『越境者的ニッポン』を読む。そして、ああだるい、と思う。たとえば、村上龍はこの小説のなかで、日本のある都市の理想の姿を次のように書く。 「アジア千年の知恵」と題して、アジアからの留学生を***1の市…

科学関係の予算について

もし、本当に効率の良いお金の使い方をしたいのなら、政府は欧米の学者の研究に巨額の補助を出すべきだと思う。 彼らは英語、フランス語、ドイツ語などの国際科学の公用語を自由に使いこなして研究発表ができるし、日本にはない世界トップレベルの教育機関で…

ナクバ法とか

イスラエルで、ナクバ法というものが可決・成立しかかっているらしい。ナクバとは、とか僕が書くより、このブログを引用したほうが早い。 「イスラエルの迷走ーナクバ法」Bananian Blue 先月、「ナクバ」を追悼する者を処罰するという法案がだされ、現在1回…

リスクってこと

某所に書いたものなんですが、ちょっと焼き直して再掲。いろいろ誤解があるような気がするので。今回のインフルエンザとその対策について、かなりまずい認識が広がっているような気が僕はしている。それというのは「行政の対策は私が感染しないための支援で…

冷静にやったほうがいい

というわけで新型インフルエンザ。僕の顧客である大学もいくつか休校になり、とんだ連休である。もちろん、既存症を持っている人にはリスクがあるし、かなり低いとはいえ死亡に至る確率もあり、そうでなくても仕事や学業に支障があったり、熱が出て苦しかっ…

パレスチナ側から見る

前の記事の一部にしようかと思っていたのだけど、こっちに。パレスチナについてのスタディーをしている、というようなことを数日前に書いたのだけど、もちろん、通りいっぺんのことは知っているつもりだった。で、今回はそれを越えるようなものを探していた…

たぶん、僕は「運動」に向いていない

さっきの記事を書いてからもいろいろとググっていて、ハアレツの記事をあと2本発見した。 Gaza op may be squeezing Hamas, but it's destroying Israel's soul 09.1.27 Someone must stop Israel's rampant madness in Gaza 09.1.26 どちらも別々の記者によ…

ハアレツ紙のひとつの側面

そろそろ本当にパレスチナ側の資料を集めようと思いつつ。検索していると、ガザで取材をしている唯一のイスラエル人記者という人がいる。その人、アミラ・ハス記者はもちろんイスラエル軍・政府に対して批判的で、そういう趣旨の記事をいっぱい書いている。…

「ガザ」についてのエッセイ

リンクを辿っていて、ちょっと興味深いエッセイを見付けた。原文は09年1月7日にロスアンジェルス・タイムズに掲載された英文なので、ほとんどの人には読めると思うのだけど、時間がかかる…ということで忌避する人がいるかもしれない。版権の問題などがあるの…

イスラエルに住んでいる人の日記

さっき、エルサレムのブックフェアについて検索していて見付けた。すごく複雑な気分になる。すごくすごく。この女性のバックグラウンドについては良くわからない。どうやらイスラエルの大学で日本語を教えている人らしく、徴兵されて軍隊にいる息子さんと、…

エルサレム賞に関してもう少し

ところで、僕はエルサレム賞に関して、何を知っているだろう? それがイスラエル最大の文学賞であり、イスラエルの有力新聞とかが噛んでいて、エルサレム市長とかも列席する中で授与されるということだけだ。言うまでもなくエルサレムはパレスチナとイスラエ…

春樹イスラエル再話

もう随分昔に読んだので出典をすっかり忘れてしまったのだけど、田辺聖子がある女性について憤慨を込めて書いていたことがある。定年退職することになったその女性へのプレゼントを相談されたので大胆な案を提示したところ、相談してきた若い男性たちが「い…

派遣村批判とか

派遣村批判とかを見ていると、権威主義的パーソナリティの概念を思い出す。といって、あの単純化された9項目か何だかの話ではない。あれだと多義的に解釈できてしまう。オリジナルの概念を良く紹介するものとして、グーグル2枚目より手前では、たとえばこれ。…

正義はなされたのだ、もちろん

異常な人は異常なことをすることによって異常だと判別される。殺人は異常なことだし、自分の行為をわけのわからない論理によって正当化することは異常なことだ。ならば、わけのわからない論理によって殺人行為を正当化する被告は異常であり、そのような人物…

北京オリンピックの産物

今のところ、北京オリンピックの聖火リレーは中国が意図していたような宣伝効果を上げていないように見える。ただ、思わぬ副産物のようなものはあって、それがあの聖火警備員ではなかろうか。実際、21世紀の中国人の表象として、あの姿はアイコン化されるの…

スポーツと政治

というわけで北京オリンピックねた。これは複雑だが、全く前例がないというわけではない。そのへんの話を少し(ミクシィ日記との重複は御免)。 第二次大戦中、オランダは隣国のドイツに占領されていた。捕虜を中心に多くの男性がドイツに連れさられて強制労…

チベット頑張れ

もちろん、傀儡的チベット自治区政府ではなく、自由と民主化を求めるチベット人たちのことであるのはいうまでもなく。経済、政治体制のいかんを問わず、また民族主義的だろうがグローバルだろうが、宗教的だろうが世俗的だろうが、全ての抑圧的・帝国主義的…

左翼ってそういうもんだっけ

この間あるブログで「あなた達左翼が大好きな国家権力」という表現を見た。文脈からみて、皮肉でも何でもなく、左翼は国家権力が好き、と思ってるみたいだ。うー。左翼から権力志向に転じたのがネオコンだと思うがなあ…

星なしだけど、素晴しい記事

はてなダイアリーだけど、スターを実装してないブログで、僕ははてブもやってない、のでここに書く。 何の罪もはずなのに、何らかの罰を受けてるという記事。素晴しい。僕が特に感銘を受けたのは次の三箇所。 自己責任ネオリベ教の教義は、自分あるいは権力…

犯罪被害者への帰責と社会学的進歩のなさ

ネット言論の一番奥深いところにある幻想は、「我々は独立した感覚と意見を持った存在であり、その表明が集合的になにかを形作る」というものだと思っているのだけど、どうなんだろうか。もちろん、それは幻想だ。メディアでつながる人々の出現というのは、1…

橋下知事の政策

このペースでいくと、春ごろには前知事と大差ないところに落ち着きそうな気がする。まあ、大規模な政策というのは常識と現実の積み重ねから成り立っているわけで、そこへたいした予備知識も準備もない素人が乗り込んで行っても、修正する過程で既存路線に落…