『無頼列車 南へ』ほか

無頼列車 南へ (文春文庫)
1916年のアメリカでの史実に基づいた小説。騎兵隊の荒くれ者と、蒸気機関車と青年が出てくる。個人的にはレイルロードタイクーンとかやってるので、列車運行の話が興味深かった。
MQ COLLECTION レイルロード・タイクーンII プラチナ
旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 日本の歴史 1)
予告してた続き。この本の帯には「四万年を一気に描く」というようなことが書いてあって、それは全巻を通じての宣伝文句かと思ったら、旧石器時代から古墳時代までを扱うこの巻についての話なのだった。そうなのだ、日本の歴史はその大半が先史というか、無文字文化なのだ。古墳自体以降の「後史時代」を全部入れても、4万年が4万1,500年になるに過ぎない。
で、その幅広い年代を扱うこの本の大きな特徴はたぶん二つ。一つは、(冒頭で宣言されていることだが)気候の変動という大きな枠組みと、生産体制の発達というこれまた大きな枠組みを上手く取り合わせているところ。どっちの話もこれまで散々されてきたものだが、両方あわせると確かに説得力がある。単に狩猟採集やってて人口が増えすぎたというだけでは農耕には移行しない。小氷期がきて、文化の伝播があって初めて農業に本格移行するのだ。そういう図式だと、確かに4万年分がきちっと描ける。
もう一つ面白いのは、教条主義的な要素を極力排除していること。たとえば、用語の定義とかには全く紙幅を割かないし、多様な状況をうかがわせる証拠が出ているところでは「現実は色々だっただろう」で済ませている。こういうのは海外の歴史教養書では良く見かけるけれど、日本の歴史全集にはほとんどないものだ。これからの巻もこうだと面白いなあ、と思う。うん。いいものを読んだ。