やっぱり革命では?

左翼のマンガ批評家さんが資本論の漫画版に悩む。
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 それはおそらく、たとえ解説書であっても『資本論』の内容にふれたとき、常識を覆してしまう爽快感があるんだけども、この本にはそれがない、とぼくは思うのだ。「常識を覆す爽快感」というのは、やはり搾取の秘密を暴露するところにその核心がある。
 等価交換という市場経済の約束を守りながら、搾取をおこなう、という、マルクスが『資本論』で〈手品は成功した〉と自分の発見を喜んでいるあの部分だ。
 本書を読んでもそういう感慨がわいてこない。
 日常の物語に添いすぎていて、読者は日常的な感覚を離れることがまったくないのだ。日常の感覚を科学的な視点から再把握させるところに社会科学書としての醍醐味があるのに、それが非常に薄い。だから、どうも釈然としないのだ。

いや、そんなに悩まなくても。
「資本主義は本質的に悪だ」という話にならない、という所がいけないわけでしょ?と思う。
これはほとんどクリシェで、だから避けたのだと思うけど、今日のひとつめのようなやつと微妙に響きあっていて、意外に深みがあると思う。