ちょっと格好悪いかな。難しいけど

もちろん、僕も学生を激しい口調で怒ったことはあるし、成績判定をめぐるやりとりでトラブルになったこともある。だから本当に何とも言えないのだけど、この話。


・次は、トラメガを持って東工大に行きます http://d.hatena.ne.jp/toled/20081213/p1
東工大に行ったよー http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20081213/p1


「実際にぼくの授業に来て質問したらいいのではないでしょうか」と言われたので行ってみたら、入室を拒否された、という話のように見える。


もちろん、実際のところがどうだったのかは僕にはわからない。講義や大学の雰囲気も全然わからないし、そもそも講義で喋ったことが速記者(役を買ってでた受講生)によってネットにアップされるという状態になったこともない(もちろん「出す本が次々に売れる有名人」という立場で授業をしたこともない)。また、当事者の人たちが微妙に知り合い同士のような気もするのだけど、そのへんの事情も全くわからない。だから詳しい事情は全部オミットして、「見える」ということだけを取り上げて言うしかないのだけど、

全体としてはちょっと格好悪い

と思うな。

「陰でこそこそしてないで直接言いに来い」という(それ自体としてはまっとうな)ことを言うのなら、質問しにくる人を選別するのは間違っている。むろん、突拍子もないことを言ってくる奴はいるだろうけど、それをも説得するというスタンスでの発言のはずで、それができないのなら、そこにあるのは言論としての敗北でしかない。もちろん、授業で敗北するのはまずいのだが、それが嫌ならそもそもリングに上らなければよいのだ。
言うまでもなく大学の講義は非公開が原則で、それをあえて公開すると(事実上)宣言しているのだから、そこに「常連に限る」とか、「ウソツキ、挑発者は駄目」とかいった(それ自体としてはもっともな)制約条件を後付けすべきではない。

もちろん、暴力の問題は難しい。だけど、事務とか警備とかを置くというのはそれ自体が既に暴力で、相手を論破すべき立場の人が先にそれをやっちゃイカン、と僕は思う。


というか…。

「文句があるなら直接言いに来い」という宣言には、程度の差こそあれ、権力的な要素が含まれているのだと思う。「来たけれ来ればいいけど、ただでは済まないよ」的な。今回の場合には、その権力が知的な優越ではなく、物理的な力の行使(脅しを含む)によってなされているように見えて、そこが格好悪いのだと思う。


まあしかし、こういうのはある意味有名税みたいな部分もあるなあ、とは思う。普通ならこんな目にあわない。そして、例えば僕の授業が公開されたら、そのブログはもっと酷い規模で炎上するだろう。だから、お気の毒ではある。

これは皮肉でも何でもないのだけど、公開するのは刊行物と自筆ブログくらいにして、要するに自分とつながりのある人のサークルの中でだけ活動するようにした方が、彼は良いのじゃないだろうか。

というか、僕らの大部分はそうやって生きているのではないかと思うんだけど。