「まことに相すまぬ、むごいことであった」

「行きがかり上」という感じで色々読んでいるのだけど、旧軍事の人の雑誌『偕行』に書かれた、総括の文章を読んで、ちょっと涙出た。これはまことに日本人らしく、武人らしい、いい覚悟のものだと思う。人数がどうとか言ってないで、日本側はこの線でまとまる、というわけにはいかないものなのだろうか。

 重ねて言う。一万三千人はもちろん、少なくとも三千人とは途方もなく大きな数である。

 日本軍が「シロ」ではないのだと覚悟しつつも、この戦史の修史作業を始めてきたわれわれだが、この膨大な数字を前にしては暗然たらざるを得ない。戦場の実相がいかようであれ、戦場心理がどうであろうが、この大量の不法処理には弁解の言葉はない。

 旧日本軍の縁につながる者として、中国人民に深く詫びるしかない。まことに相すまぬ、むごいことであった。

(「証言による南京戦史」(最終回) <その総括的考察> = 「偕行」1985年3月号 P17〜P18) 


引用元は南京事件−日中戦争 小さな資料集