大阪府のコロナ死亡件数を発生日別にまとめました

大阪府は2020年の12月半ばから、毎日、コロナでの死亡件数を発表しています。ただ、この集計は発表日毎の表になっているので、事象の発生日ごとの傾向が分かりづらいという問題があります。そこで、表をダウンロードして整理しなおしてみました。亡くなった方の年齢と性別もわかりますので、そちらも集計してみています(年齢は「何歳代」という形で10歳刻みで、性別は「男」と「女」のバイナリ値で発表されています)。

作業そのものは単純なのですが、件数が膨大なのでPythonスクリプトを組みました。欠損処理とかが意外と大変だったです(あと、生来の間抜けのせいか、long-covidのブレインフォグのせいか、変数を間違えていて修正でえらい目にあいました。ていうか。僕が悪いです。ごめんpython)。

 

第4波は本当にひどかった

まず、日毎の集計を見ます。大阪府の死亡件数は2021年1月1日から10月26日までで、2439件でした(うち2件は死亡日が不明です)。9月までの月別の平均を取ると265件になります。大阪府の毎月の死亡件数はだいたい7000件くらいなので、その3.8%くらいです。全体の傾向は以下のグラフをごらんください。

f:id:le-matin:20211029110623p:plain

3つの波がはっきりと表れています。死亡は感染よりも1-1.5月遅れて現れると言われていますので、冬の第3波、春の第4波、夏の第5波がとらえられているとみていいと思います。

死亡件数では、春の第4波が圧倒的に多くなっています。ワクチンの効果がまだ表れていないときの感染がどれほど恐ろしいものだったかが分かります。月別に集計すると5月の死亡件数は837件あり、平年の死亡件数の10%を超えています。

一方、ワクチンの接種が進みつつあった夏の第5波では、冬の第3波よりも低い水準の死亡件数になっています。公平に見て、政府の対策は死亡を少なくするという点では効果があったといえるでしょう。

 

なお、日毎の集計データは 大阪府死亡・発生日別 - Google スプレッドシート で、

月別の集計データは 大阪府死亡・月別 - Google スプレッドシート でごらんいただけます。

69歳以下の比率が増えてきている。

次に、年齢別の集計を見ます。傾向がわかりやすいように、死亡件数が少なくなっている時期を除き、第3波(1-2月)、第4波(4-5月)、第5波(8-9月)で集計しました。グラフにすると、第3波、第4波、第5波と進むごとに死亡全体に占める70歳以上の人の比率が減り、それ以下の年齢の人の比率が増えていることがわかります。

f:id:le-matin:20211029112544p:plain

70歳以上の人の比率が減る一方、60代は4.7%→8.2%→13.5%と増加、50代も1.3%→4.1%→10.0%、40代も0.5%→1.2%→6.5%と増えてきています(39歳以下は常に2%以下です)。

春には死亡件数が激増し、それが夏に激減しているのですが、そういうこととは係わりなく、比率は一定方向で変動しています。これは高齢者向けに、ワクチン接種と医療体制の整備を重点的に進めてきたことの成果だと言えると思います。

時期別のデータは 大阪府死亡・期間別 - Google スプレッドシート にまとめてあります。

 

男性の比率が増加している

男女別の集計は、以下の表をご覧ください(画像です)。

f:id:le-matin:20211029115406p:plain

もともとコロナの死亡は男性が多いことが知られているのですが、第5波ではさらに男性の比率が増えました。男性が死亡件数の65%を占めるようになっています。理由としてはいくつかの仮説が思い浮かびますが、今回は年齢、性別、時期の三重クロスを取る余裕がなかったので詳しくは分かりません。

男女別のデータも 大阪府死亡・期間別 - Google スプレッドシート に載せています。 

対策は一定の効果をあげている

感染数が激増した第5波でも死亡件数を減らすことができたのは大きな成果でした。ワクチンの効果は絶大だったといえます。また、医療体制の整備も成果を挙げました。

ただ、春の第4波というインパクトによって対策が進んだとも言え、その前に対策があれば多くの方が亡くならずに済んだのではないか、という思いは残ります。医療の整備も、ワクチンの普及も、あと半年前倒しすべきでした。流行開始から1年後の「対策の遅れ」は言い訳がしにくいと思います。

今後の展望ですが、第5波は完全におちつき、死亡件数も10月に入って激減しています。ただし冬に第6波が来る恐れはあります。特にこれで気になるのは、50代以下の人の死亡件数があまり減っていないことです。感染爆発がおさまっている状況なのではっきりとはわかりませんが、10月のデータを見ると、70代以上の方の死亡の比率にも下げどまりが見られるように思います。


もし、今年の冬の第6波がさらに多くの感染という形で到来するなら、ワクチンの効果を勘案しても、この前の冬と同じくらいの死亡が今年の年末から来年初頭にかけて生じる恐れはあるのではないかと思います。